2009年03月02日

「しとやかな獣」と昭和の団地の食卓

3月の上映会(3/12〜3/17)は、若尾文子主演「しとやかな獣」をお届けします。
1962年/日本 /35ミリ/カラー/96分 
監督:川島雄三 原作・脚本:新藤兼人 主演:若尾文子 伊藤雄之助 山岡久乃 川畑愛光 浜田ゆう子 小沢昭一 高松英郎 船越英二 ミヤコ蝶々他
フィルム・写真提供:角川映画
共催:コミュニティシネマ支援センター(財)国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)
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●高度成長期に建設された高層アパートの一室に住む四人家族の前田家。娘を流行作家の妾にあてがい、作家の収入をむさぼらせ、一方、芸能プロダクションに勤める息子には、タレントのギャラを横領させ、一家は何不自由のない生活と着実な預金を楽しんでいる。最初の訪問となる息子の務める芸能プロ社長、女会計係、タレントの取り立てには、露骨な猿芝居で白を切り続け、客人が帰るやいなや、いけしゃあしゃあといつもの日常に戻る家族。第二の訪問者である娘をあてがわれている作家の苦情には、徹底的なおべんちゃら大会でそれを躱し、悪びれた様子もなく、更なる搾取を画策する一家。すると、息子と同じ芸能プロダクションに務める若尾文子扮する先の女会計係が、今度は1人で息子を訪ねてやって来る…。
アパートの内部と玄関先の階段だけが舞台となるこの密室劇は、ストーリーの軸となる横領の現場や色恋沙汰も一切見せず、登場人物の台詞だけで全てが進行します。戦後強いられた貧しさを悪とする女衒ばりの父、物腰は上品なものの、更に上をゆく程したたかな母。搾取と横領を正義とし、徹底的にドライな悪党一家の丁々発止の台詞のやりとりと行動は、乾いたユーモアさえ漂わせます。絶頂期の若尾演ずる幸枝を頂点としたしたたかな俗物達の競演はまさに圧巻。落ち行く者、のし上がる者が、独白しながら架空の階段を昇り降りする象徴的な場面、夕立の中、利用され社会的地位を逸した税務官が昇り詰め佇む唯一の屋上シーン等、トーンを一新する道具立て、更には、雅楽を利用した意外な選曲は、作品に見事なコントランスを創り出します。文字どおり、他に類を見ない川島雄三による日本映画の傑作。是非、お見逃しなく。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
posted by Cinoche at 18:22 | Cinema

2009年02月01日

「わすれな歌」と歌謡ショーのタイ屋台料理

2月の上映会(2/12〜2/17)は、タイ映画の「わすれな歌」をお届けします。
MON・RAK TRANSISTOR/2002年/タイ/35ミリ/カラー/116分 
監督・脚本:ベンエーグ・ラッタナルアーン 主演:スパコン・ギッスワーン シリヤゴーン・プッカウェート プラシット・ウォンラックタイ他
2002年カンヌ国際映画祭監督週間正式出品作品 2002年シアトル国際映画祭アジアン・トレードウインズ賞受賞
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●天真爛漫で歌うことが大好きな青年ペンは、地主の美しい娘サダウに夢中。周囲の妨害も何のその、猛烈なアタックが功を奏し、ようやくサダウの心を射止める。結婚、そしてサダウの妊娠と、幸福の絶頂の頃、ペンは徴兵に駆り出されてしまう。毎日のように愛する妻サダウに手紙を送るペン。ある日、訓練中のペンは、巡業に来た芸能事務所の歌手オーディションのポスターを見つける。優勝すれば、以前からの夢であったプロ歌手としてのデビュー、そして、もと通りサダウとも一緒に暮らせると、万感の思いで歌った自作の「わすれな歌」は、会場を大きな感動に包む。しかし、これがペンの波乱の人生の幕開け。徴兵を放り投げ、芸能事務所で下詰み生活を始めたところから、つらくて、長い、故郷への道をたどることになる…。
タイの演歌と言われるゆったりとしたリズムの「ルークトゥン歌謡」を随所に生かした田舎の描写や情緒豊かな演出は、タイの映画に触れることの少ない私達にノスタルジーさえ喚び起させ余りありますが、それとは対照に、波瀾万丈の人生を強いられるペンのドラマには、圧倒的なスピード感があり、想像を絶するほど波乱万丈に描かれています。芸能界のボスなど、各キャラクターの描き方もとても現代的で、随所に笑いも取り込まれており、タイの映画という括りでは捉えきれない不思議な魅力を持った作品です。原案は、60年代に旋風を巻き起こした伝説のポップ・シンガー、スラボン・ソムバットジャルーンの歌謡曲。「月が空を忘れないように、僕を忘れないで」という歌詞の通り、映画も、故郷の妻に想いを馳せるラブ・ストーリーに仕上がっています。
◎cinecafe sotoでは、いつものように、映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。
posted by Cinoche at 14:35 | Cinema

2008年12月31日

「はなればなれに」 nouvelle vagueにヌーベル・キュイズィーヌ

2009年1月の上映会(1/15〜1/20)は、J・L・ゴダール監督の「はなればなれに」をお送りします。
Bande à part/1964年/フランス/35ミリ/モノクローム/96分 
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール 音楽:ミシェル・ルグラン 主演:アンナ・カリーナ サミー・フレイ クロード・ブラッスール他b20a20P.jpg
公式サイト
●強奪計画の「下見」に、パリ郊外の屋敷へ向かうフランツとアルチュール。叔母が、脱税の現金をその屋敷に隠している話をしたのは、フランツと同じ英語学校に通う若い娘オディール。彼女は叔母ヴィクトリアの屋敷に下宿している。道中、街で初めてオディールを見かけたアルチュールは彼女に一目惚れ。英語学校に紛れ込み、授業中に大胆なラブレターまで渡す。ナイーブなオディールは、そんな大胆さに魅せられ、次第にアルチュールに惹かれていく。オディールをそそのかし、英語学校を抜け出した3人は、その後、現金強奪計画を立てに市内のカフェへ。自分が話してしまった現金の強奪計画が進んでいることに混乱し、また、フランツとアルチュール、どちらを選ぶべきかで悩むオディール。3人は、強奪計画を明後日と決定するが…。
遅れて来た観客のために、前半部分をレジュメする監督自身の人を食ったナレーション。3人が黙りこむゲームの場面は映画自体もサイレントに。まるで、ミュージカルのように踊り続ける3人。たった9分45秒で鑑賞したというアメリカの団体観光客を茶化し、3人でルーブルの館内を走り抜けるなど、古典的ギャング映画のストーリーに散りばめられたエピソードは、愉快で即興的な演出が冴えるヌーベルヴァーグ時代のゴダールの真骨頂です。この悲しくおかしい青春日記は、同時録音と全編ロケにより当時のパリの若者の行動や風俗を瑞々しく表現しつつ、その日常が垣間見せる思いがけない一瞬を見せてくれます。音楽のミシェル・ルグランは、当時製作中の「シェルブールの雨傘」の楽曲も劇中で披露するも、監督との共同作業は難航を極めたらしく、スタッフ紹介では、「これが最後の映画音楽!?」などと揶揄されているのも、ゴダール流のユーモアでしょうか?
◎cinecafe sotoでは、いつものように、映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。
posted by Cinoche at 00:00 | Cinema

2008年11月26日

「ミリキタニの猫」とN.Y.風の"天ぷらうどん"

12月の上映会(12/4〜12/9)は、ドキュメンタリー映画「ミリキタニの猫」をお届けします。
THE CATS OF MIRIKITANI/2006年/アメリカ/35ミリ/カラー/74分 
監督:リンダ・ハッテンドーフ 登場人物:ジミー・ツトム・ミリキタニ ロジャー・シモムラ他
2006年トライベッカ映画祭観客賞 ポート・タウンゼント映画祭最優秀長編ドキュメンタリー賞 ホープ・アンド・ドリームス映画祭最優秀ドキュメンタリー賞 東京国際映画祭<日本映画・ある視点>部門最優秀作品賞他、多数受賞

公式ホームページ
●ニューヨーク、ソーホー街の軒先で、路上生活をしながら黙々と絵筆を動かす老人。猫の絵に惹かれカメラを向ける監督に、彼は、絵と交換に自身の記録撮影を依頼する。そして、その大半を絵を描くことで過ごす老人の日常を記録する映像は、猫だけでなく、その生涯の体験を描き、平和を訴える彼の姿を映し出していく。すると、すぐ近くで、あの惨事、「9.11 世界貿易センタービル崩壊」の瞬間が…。騒然とした周囲をよそに、いつもと同じように平然と絵筆を動かす日系人画家ジミー・ミリキタニ。有毒なガスが立ち昇るソーホー街から避難させようと、監督は、彼を自身のアパートに同居させる。生活をともにし、打ち解けた会話の中から、彼の波瀾万丈な反骨人生が浮かび上がってくる。
カリフォルニア生まれの日本人である彼は、母の故郷広島で育つが、軍国主義を逃れ18歳でアメリカに帰国。第二次大戦中は、3年半に渡り、日系人強制収容所の生活を余儀なくされる。その後は、アメリカ政府に抵抗し、自ら市民権を放棄。その時から、彼の反骨の人生が始まる。
かけがえのない友人を見守るかのように、ファインダー越しに暖かい視線を投げかける監督の愛情は、頑なに平和への想いを貫いてきたジミー・ミリキタニ氏の心を柔らかく解きほぐし、見ている私達にも幸福感を与えると同時に、自由や、平和の意味を問いかけさせてくれます。
◎cinecafe sotoでは、いつものように、映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。
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2008年11月01日

「フリーダ」

11月の上映会(11/6〜11/11)は、「フリーダ」をお届けします。
FRIDA/2002年/アメリカ/35ミリ/カラー/123分 
監督:ジュリー・テイモア 「アクロス・ザ・ユニバース」’07他
主演:サルマ・ハエック アルフレッド・モリナ ジェフリー・ラッシュ アントニオ・バンデラス他
2002年アカデミー賞作曲賞 同メイクアップ賞
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公式ホームページ
●メキシコ人の母とドイツ人の父のもと、4人姉妹の3女として生まれたフリーダ・カーロは、6歳で小児麻痺を患うが、天性の明るさで、幼い頃から多感な少女時代を過ごしていた。高校生になった彼女は、バスと路面電車の衝突事故に巻き込まれ、瀕死の重傷を負う。 一命は取り留めたものの寝たきりの生活となってしまった彼女は、その頃から独学で絵を描き始める。近しい人物や自画像の表現に独創的な才能を開花させていった彼女は、度重なる手術にもめげず奇跡的な回復も見せてゆく。なんとか歩けるまでに回復していたフリーダは、画家になることを夢見て、民衆のための芸術を興すメキシコ壁画運動の中心的画家であったディエゴ・リベラに面会に行く。彼女の絵は認められ、その後、彼の教えを乞うようになり、その関係は、いつしか情熱的な愛情を育むのだが…。
映画は、「折れた背骨」、「断髪の自画像」など、フリーダが直面した人生上の困難や苦難を表現した絵画作品をオーヴァーラップさせ、その世界観を独特の映像で表現しています。主演のサルマ・ハエック(「デスペラード」「フロム・ダスク・ティル・ドーン」など)は、高校生から47歳で亡くなるまでのフリーダを体当たりで演技し、本作では製作も兼ねています。
◎cinecafe sotoでは、いつものように、映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。

< Frida KAHLO フリーダ・カーロ >('07〜'54)
メキシコで最も有名な画家の1人。メキシコとネイティブ・アメリカンの文化的な影響下で、自己の体験に基づく心の痛みを画題に、鮮やかな色彩による具象作品を制作。イサム・ノグチやレフ・トロツキーとの不倫など、その奔放な恋愛遍歴も有名。彼女の作品は、フランスのシュルレアリストたちに高く評価されたが、自身は空想ではなく現実を描いていると述べている。メキシコ共産党員でもあり、居室にスターリンの肖像を掲げて暮らしていた。
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2008年10月09日

「19歳の地図」上映と柳町光男監督トークショー

「ホームービーデー」の翌日は、「19歳の地図」で、'79年当時のこの地域を振り返ります。
19歳の地図/1979年/プロダクション群狼/35ミリ/カラー/109分
脚本 ・監督:柳町光男 原作:中上健次 音楽:板橋文夫 主演:本間優二 蟹江敬三 沖山秀子 山谷初男ほか
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●地方から上京し、住み込みの新聞配達をしながら予備校に通うみつる。集金の度に怪訝な顔をされ、嫌われ無視されるみつるは、不満度を×で印した配達区域の住宅地図を作り、いたずら電話を重ね毒を吐く。そして、いつしかその不満は、社会全体へと向けられてゆく。ささやかな復讐を試みながらも、自身の無力を自覚し、虚栄を張りながら生きていく若者の焦燥感と閉塞感を、当時全くの新人俳優であった本間優二が好演しています。

◎この作品は、'79年当時、十条、赤羽、王子、滝野川周辺を主なロケ地として撮影されました。柳町監督には、撮影当時のこの地区でのロケについて、思い出話を語っていただく予定です。

=柳町光男監督= 
暴走族を追ったドキュメンタリー「ゴッド・スピード・ユー!BLACK EMPEROR」でデビュー。「十九歳の地図」(79)、「さらば愛しき大地」(82)カンヌ国際映画祭正式出品「火まつり」(90)等を製作。01年から3年間早稲田大学客員教授に就任。最新作の「カミュなんて知らない」(05)は、同年のカンヌ国際映画祭監督週間に正式出品、また第18回東京国際映画祭日本映画・ある視点部門で作品賞を受賞。

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<10.19 作品上映後、柳町光男監督に講演をしていただきました。>
posted by Cinoche at 00:34 | Cinema

2008年09月19日

「アマチュア」とポーランドのロールキャベツ "ゴウォンプキ"

10月の上映会(10/2〜10/7)は、「アマチュア」をお届けします。
AMATOR/1979年/ポーランド/35ミリ/カラー/112分 
監督:クシシュトフ・キェシロフスキ 「トリコロール3部作」「ふたりのベロニカ」など
主演:イエルジー・スチュエル マウゴジャーダ・ジャブコウスカ他
モスクワ映画祭グランプリ グダニスク映画祭グランプリ
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●念願だった娘の誕生を機に、成長の記録を残そうと給与2ヶ月分でロシア製8ミリカメラを購入したフィリップ。撮影の趣味を買われ、勤務工場の記念式典の記録を命ぜられる。撮影に編集にと、娘や妻もそっちのけで映画製作にのめり込んでしまう彼は、妻の不信感を募らせる。妻の希望とは裏腹に、彼の作品はアマチュア映画祭で受賞し、業界の知人も得て、工場では映画倶楽部も組織。はれて会社公認の映画倶楽部長として新作を作り続け、ついには、工場の一労働者を追った短編作品がテレビ放映されるまでになるのだが、そのとき妻は…。
作者の意図に反し、被写体に危害を被らせてしまう可能性も持つドキュメンタリーの危うさを悟り、次第に自らの表現をフィクションの場に求めていったキェシロフスキ監督自身の疑問を投影した作品。実在の評論家や監督も実名で出演し、かつて、監督自身が完成することのできなかった障害を持つ労働者のドキュメンタリーを主人公の作品として、劇中に挿入しています。
◎cinecafe sotoでは、いつものように、映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。
posted by Cinoche at 23:06 | Cinema

2008年08月26日

「SWEET SIXTEEN」

9月の上映会(9/11〜9/16)は、「SWEET SIXTEEN」をお届けします。
Sweet Sixteen/2002年/イギリス・ドイツ・スペイン/35ミリ/カラー/106分 監督:ケン・ローチ 脚本:ポール・ラヴァティ 主演:マーティン・コムストン ウィリアム・ルアン他 2002年カンヌ国際映画祭脚本賞受賞
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●母は服役中、その情夫は麻薬の売人。そんな家庭に育ったリアムは学校にも行かず、親友のピンボールとフラフラしている。味わったことのない家庭のぬくもりを夢みるリアムにとって、母と、そして、母に愛想を尽かして出て行った姉シャンテルとも、皆で一つ屋根の下に暮らすことが唯一の希望だった。ささやかなバンガローの頭金を稼ぐため、リアムとピンボールは母の情夫スタンの麻薬でひと儲けする計画を立てる。麻薬売買の胴元にも目をつけられるが、素人ながらがむしゃらに稼ぎ出すその勇気を見込まれ、より大きな取引も任される。念願の新居に出所した母を迎え、かつての夢が全て叶ったように思えたリアムではあったが、晴れて16歳の誕生日を迎える次の日、彼はある一線を超えてしまう。
06年「麦の穂をゆらす風」で、カンヌ国際映画祭グランプリを受賞したローチ監督は、社会問題への鋭い批評性を背景に、人間を愛する厳しくも優しい眼差で市井の人々にフォーカスをあててきました。本作でも、児童虐待、家族、ドラッグ等、様々な問題を扱いながら、過酷な現実を生き抜く純真な少年の心の叫びを描き出します。
◎cinecafe sotoでは、いつものように、映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。
posted by Cinoche at 00:05 | Cinema

2008年07月31日

「僕の村は戦場だった」とロシア粥 "カーシャ"

8月の上映会(8/14〜8/19)は、「僕の村は戦場だった」をお届けします。
ИВАНОВО ДЕТСТВО/1962年/ロシア/35ミリ/モノクローム/94分 
監督:アンドレイ・タルコフスキー 主演:ニコライ・ブルリャーエフ ワレンチン・ズブコフ他
1962年ベネチア映画祭グランプリ サンフランシスコ映画祭最優秀映画賞
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●立ちこめていた霧も晴れ、森にはカッコーの声がこだまします。蝶は野原を舞い、野生の山羊が草を食みます。そんな平和な風景も束の間、少年は現実の悪夢に目を覚まします。対独戦争により両親と妹を失ったイワンは、憎しみに身を焦がし、パルチザンとして敵の占領地を偵察する危険な任務をこなしています。前線の将校たちも、彼を優秀な同士として迎えるものの、まだ年若い彼の身を案じ、同じ年頃の子ども達のように、後方へ戻り学校へ通うよう説得を続けますが、イワンはそれをかたくなに拒みます。ドイツ軍の攻撃が激しさを増す頃、イワンは敵の情勢を探る命がけの偵察役を強引に買って出ます。斥候に出たまま帰らなかった仲間の兵士の遺体がさらされる土手を横目に、イワンを乗せた小舟は、前線の沼地の闇に消えて行きます。
'59年のウラジーミル・ボゴモーロフのベストセラー「イワン」の映画化。前線の薄暗く陰気なシーンとは対照に、イワンの記憶にある平和な風景を、大胆なカメラワークと編集により詩情豊かに再現します。後に、「惑星ソラリス」「鏡」「ストーカー」など数々の名作を残すA・タルコフスキー監督の長編処女作。
◎cinecafe sotoでは、いつものように、映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。
posted by Cinoche at 20:11 | Cinema

2008年06月26日

「海をみる」ワンドリンク上映会

7月は、「まぼろし」の上映に加え、7/10(木)〜13(日)の4日間のみ、同オゾン監督の傑作中編「海をみる」も上映します。
Regarde la mer/1997年/フランス/35ミリ/カラー/52分/97年ロカルノ国際映画祭オープニング作品/監督:フランソワ・オゾン
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●夫が出張で留守なため、海辺の一軒家に赤ん坊と二人きりの若い妻サーシャ。庭にテントを張らせて欲しいと、同じ年頃の女性バックパッカーに頼まれたことから、この奇妙な訪問者との不穏な遭遇が始まります。
開放的な空と海を舞台に、少ない登場人物による静謐でリアルな映像と、オゾン流のあからさまな表現が独特の緊張感を高めます。
posted by Cinoche at 13:17 | Cinema

2008年06月25日

「まぼろし」と LANDES(ランド)地方のスペシャリテ

7月の上映会(7/2〜7/7)は、「まぼろし」をお届けします。
SOUS LE SABLE/2001年/フランス/35ミリ/カラー/95分 
脚本・監督:フランソワ・オゾン 主演:シャーロット・ランプリング ブリュノ・クレメール他
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●25年連れ添ってきたジャンとマリーは、今年もヴァカンスヘ出かけます。地元の人だけが知る静かな海岸で、マリーはペーパーバックを片手に日光浴を、傍らのジャンは、ひと泳ぎしにまぶしく光る海に向かいます。ひと眠りしたマリーはジャンを呼びますが返事がありません。もしやと思ったマリーは、救助隊による本格的な捜索も要請しますが、ジャンは見つかりません。事故? 失踪? 自殺? 幸福な日常を突然の波にさらわれ、真相の分からないまま喪失の傷を負ったマリーは、その後も、まるで彼と暮らしているかのように振る舞い周囲を驚かせます。お互いの信頼関係や、自分の存在理由すらも大きく揺さぶられ、肉体と精神を引き裂かれる女性を、シャーロット・ランプリングが全身で演じます。
「8人の女たち」で、フランスの名だたる女優たちを演出し、今や、常に活躍が期待されるフランソワ・オゾン監督の出世作を、是非、スクリーンでご堪能下さい。
◎cinecafe sotoでは、いつものように、映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。
posted by Cinoche at 15:57 | Cinema

2008年05月16日

「ディス・イズ・ボサノヴァ」とフェイジョアーダ

6月の上映会(6/4〜6/9)は、「ディス・イズ・ボサノヴァ」をお届けします。
COISA MAIS LINDA:HISTORIAS E CASOS DA BOSSA NOVA/2005年/ブラジル/35ミリ/カラー/129分 
脚本・監督:パウロ・チアゴ 主演:カルロス・リラ ホベルト・メネスカルジョアン・ジルベルト アントニオ・カルロス・ジョビン フランク・シナトラ他
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●「リオ」の歌詞で街の美しさを讃えたボスコリ、舟のクランク音から「小舟」を作ったメネスカル。仏語の授業中に「マリア・ニンゲン」を書き上げたリラと、それを仲間内の合図代わりに口笛で吹いていたジルベルト。そして、海に向かう彼らの傍らにはナラ・レオン。映画は、ボサノヴァ誕生のまっただ中にいた永遠の青年、カルロス・リラとホベルト・メネスカルを水先案内人に、ボサノヴァの名演も交えながら、ゆかりのアーチスト達や思い出の地を紹介し、その歴史を紐解いていきます。リオやイパネマ、そして、コパカバーナの美しさに育まれた「ボサノヴァ」を、音楽と映像でご堪能下さい。
◎cinecafe sotoでは、いつものように、映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。
posted by Cinoche at 19:16 | Cinema

2008年05月01日

「サッド ヴァケイション」と北九州の母の味

5月の上映会(5/7〜5/12)は、「サッドヴァケイション」をお届けします。
「サッドヴァケイション」2007年/日本/35ミリ/カラー/136分 
原作・脚本・監督:青山真治 主演:浅野忠信 石田えり 宮崎あおい 板谷由夏 中村嘉葎雄 オダギリジョー 光石研 他
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公式ホームページ
●幼少期に母に捨てられ、父にも自殺された健次は、成人し、密航の斡旋を生業としていた。中国人の追っ手を逃れ、運転代行業に職を替えた健次は、ある日、運送会社を経営する間宮を送った先で、その妻に収まっていた自分の母、千代子と再会する。間宮の運送会社は、事件に巻き込まれ傷ついた少女、借金取りに追われる若者、免許を剥奪された元医師ら、脛に傷を負った流れ者に住処と職を与える共同体であった。母への復讐を目的に、ここでの共同生活を始めた健次であったが、彼の意志以上に強靱でしたたかな母の磁力に翻弄され、あるいは、この共同体を経営する義父の寛容な父性の傍らで戸惑い、その意志を全うできず、いたずらに非行を続ける異父兄弟の弟、有介をあっけなく殺めてしまう。
健次の性格を表すかのような冒頭の挑発的映像や、潔く省かれた過去の説明により、一見、難解な物語のようにも思われがちですが、共同生活をする兄弟のような社員達のつながり、よそ者となっていた元家族の健次を受け入れていく過程、さらには、健次が新しく作る家族など、全ては、この物語が"家族の姿"を描いていることを証しています。中でも、常に未来を見据え、変わりゆく家族の形をおおらかに受け入れ包み込んでしまう母、千代子の存在は逞しく、そして、しなやかな美を湛えています。大胆でヴァラエティに富んだ選曲による印象的なサウンドトラックと、北九州の風景にこだわって切り取られた美しい映像が相まって、あまりに映画的な作品に仕上げられたこの物語を、是非、スクリーンで体験して下さい。
◎cinecafe sotoでは、いつものように、映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。
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2008年04月20日

「チェコ人形アニメ傑作選」ワンドリンク上映会

5/1(木)〜 5/5(月・祝)、チェコの人形アニメ4本の上映会を行います。
チェコの人形アニメの黄金時代を築いた2人の作家、ティールロヴァーとトルンカ。彼らの作品には、人形劇大国チェコの技術や伝統はもちろん、作家独自のユーモアと創造性が遺憾なく発揮されており、世界をリードして来た一時代の人形アニメの姿が見えます。
理屈抜きに楽しい作品から、シナリオもアニメの表現も素晴しい珠玉の作品まで4本を厳選しました。この機会に、是非、フィルムでご堪能下さい。
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2008年03月24日

「マッチ工場の少女」と最後の晩餐

4月の上映会(4/2〜4/7)は、「マッチ工場の少女」をお届けします。
THE MATCH FACTORY GIRL/1990年/フィンランド/35ミリ/カラー/70分 監督:アキ・カウリスマキ 主演:カティ・オウティネン エリナ・サロエスコ・ニッカリ ヴェサ・ヴィエリッコ他
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●冒頭、古びたマッチ工場の製造ラインが延々映ります。その工場で淡々と仕事をこなす少女イリスは、市電に乗って、食材を買って、家に帰るだけ。アパートには、イリスの稼ぎに頼る母と義父。ある晩、イリスはディスコに出かけます。次々と誘われる女性達をよそに、彼女は最後まで声をかけられず、足下には空瓶の山。給料日の帰り道、彼女は派手なドレスを衝動買いします。給料袋を待ち構えていた義父には「売春婦」と罵られたイリスでしたが、今度は、そのドレスを着てディスコへ。ドレスのおかげか否か、今度は男に誘われ、彼の家で一夜を過ごします。ルーティンの仕事をこなす彼女にも微かな笑みが…。やっと掴んだ幸福もつかの間、勝手に真実の愛を信じていたのは彼女だけ。その後は、めくるめく不幸に見舞われていきます。しかし、ある日、ついにイリスは、はっとするほどしたたかな反撃を試みます。
結果だけを淡々と描く作風は、イリスの犯行を、決して悪びれることなく、むしろすっきりとすがすがしくその至福の時を謳い上げて、独特のユーモアさえ感じさせます。俳優たちの台詞は極端に少なく、そして無表情、映しだされるものも最小限。そんな中、主人公の心中を代弁するかのような劇中の安っぽいロック歌謡の歌詞は、もう笑うしかない悲惨な状況を、ひときわ哀愁を込めて語ります。本作は、その短さもあって、まるで独特の語り口によってお話しを語る絵本やマンガのようでもあります。監督自ら、"負け犬三部作"と称する初期の3作品の中から、カウリスマキを一躍有名にした「マッチ工場の少女」を、是非、フィルムでご堪能下さい。
◎cinecafe sotoでは、いつものように、映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。
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2008年02月29日

「ぼくの伯父さん」と"モダン"なごちそう

3月の上映会(3/5〜3/10)は、ジャック・タチの「ぼくの伯父さん」をお届けします。
MON ONCLE/1958年/フランス/35ミリ/カラー/116分
監督:ジャック・タチ 主演:ジャック・タチ アラン・べクール ジャン=ピエール・ゾラ他
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●監督自身が演じるユロ氏は、紳士的で清潔感のある小市民の優等生。ところが、周りの人々や社会の変化に比べると、どこか遅れているように見受けられ、いつも貧乏くじを引かされてしまいます。一方、義兄は、まさしく時代の成功者。プラスチック製品のメーカーを経営し、時代が夢見た超モダンスタイルのアルベル邸に住み、息子にも何不自由のない生活を与えていると自負していますが、客人の訪問毎に噴水のスイッチを入れたり、愛犬ダキの仕業で自動扉のガレージに閉じ込められたり。本来の機能性を完璧にコントロールできないのと同様、息子のジェラールも、この豊かな家庭よりも飄々と生きるユロ伯父さんになついたままです。
タチの映画の登場人物やオブジェは、それぞれの性格を表すよう、微に入り細にわたって、その立ち振る舞いすらも徹底的に計算されています。また、生活の中の音をデフォルメし、おもしろ可笑しく聞かせる音響の手法も、ユーモアを表現する極めて独創的なスタイルです。このように、説教や批判的なブラックユーモアに頼らず、紳士的でスマートな手法により時代を風刺してみせるタチ独自の様式は、彼が舞台でパントマイムを演じていた頃からの膨大な人間観察のスタディと、それを可笑しく表現できる職人技の結晶です。
ユロ氏を中心としたのんびりと親しみ溢れる下町の風情と、革新的な実験精神に溢れる表現が同居する、愛のあるユーモアが溢れるジャック・タチの代表作を、是非、スクリーンでご堪能下さい。
1958年度米アカデミー賞最優秀賞外国語映画賞、1958年度カンヌ国際映画祭特別賞、1958年度フランス批評家協会メリエス賞
◎この映画に合わせ、cinecafe sotoでは、いつものように映画にちなんだお料理をご用意して、皆様のご来場をお待ちしています。
posted by Cinoche at 01:29 | Cinema

2008年01月26日

「都会のアリス」と心の糧

2月の上映会(2/6〜2/11)は、ヴィム・ヴェンダースの「都会のアリス」をお届けします。
ALICE IN DEN STADTEN/1974年/ドイツ/35ミリ/モノクローム/112分
監督:ヴィム・ヴェンダース 主演:リュディガー・フォーグラー イエラ・ロットレンダー他
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●フィリップは、アメリカの現状をルポする仕事で滞在していたドイツ人ジャーナリスト。約束の原稿も形にできず、なけなしの小遣いでドイツへ戻るところ。一方アリスは、男に振り回される母親に連れられアメリカに来たものの、その破局と同時に故郷のドイツへ戻るところ。2人は偶然、ニューヨークの空港で出会います。結局、母親は失踪。渡航先で母と落ち合う約束を胸に、アリスは、出会ったばかりのフィリップとアムステルダム行の飛行機に乗り込みます。フィリップにとって、感情の起伏の激しい9歳の女の子の道連れは、まさに厄介なお荷物ですが、目的を失い、執筆はおろか、まともなコミュニケーションすら忘れてしまった" 敗者 "フィリップにも、客観的で、時に辛辣な言葉も浴びせる旅仲間アリスの姿は、人の道を諭す天使のようにも映ります。
有名な俳優も、ドラマチックな展開もありませんが、偶然の出会いや別れ、些細なすれ違い、あるいは同行者への思いやりが、かけがえの無い大きな愛情に変わっていくような時間は、誰もが経験したことのある人生の大切な瞬間を垣間見るようです。
海を渡る旅客機、鉄の塊のようなモノレール、機械的な観光案内の響く遊覧船、薄っぺらのルノー、カーフェリー、大陸特急等々、様々な交通手段とともに、カメラは都市と郊外を移動します。そこに映し出される風景は、心の旅となり、そして" 映画の旅 "を紡ぎ出します。
『パリ、テキサス』<1984年カンヌ国際映画祭パルムドール>、『ベルリン・天使の詩』<1987年同監督賞>で有名なヴェンダースの " ROAD MOVIE " の原点を、是非フィルムでご堪能下さい。
◎この映画に合わせ、cinecafe sotoでは、いつものように映画にちなんだお料理をご用意しています。映画に浸った旅人のみなさんへ、" 心の糧 "となるようなお食事でお待ちしています。
posted by Cinoche at 23:04 | Cinema

2007年12月24日

「ロバと王女」と愛のデザート

2008年1月の上映会(1/9〜1/14)は、ジャック・ドゥミのミュージカル「ロバと王女」をお届けします。
PEAU D'ANE/1970年/04年デジタルリマスター/フランス/35ミリ/カラー/100分 監督:ジャック・ドゥミ 主演:カトリーヌ・ドヌーブ ジャン・マレー ジャック・ペラン他
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●フレンチ・ミュージカルの名匠ジャック・ドゥミのミュージカル3部作を飾る「ロバと王女」。もちろん音楽は、「シェルブールの雨傘」、「ロシュフォールの恋人達」でもおなじみのミシェル・ルグラン。'71年に製作され、日本では、最近までDVD化もされていませんでしたが、ドゥミ夫人で同じく映画監督のアニエス・ヴァルダ達家族の手により、'04年にデジタルリマスター版が完成しました。
王女役には、20代のカトリーヌ・ドヌーブ、王役はJ・コクトーの映画でも有名なジャン・マレー、そして、最近は俳優業の他に、「WATARIDORI」、「コーラス」の製作も手がけるジャック・ペランが隣国の王子役で出演しています。
ストーリーは、「シンデレラ」や「眠れる森の美女」でも有名なシャルル・ペローのおとぎ話の映画化ですが、ドゥミ流のユーモラスで大胆な時代解釈により、'30年代の衣装と'70年代のインテリアが同居したり、デルフィーヌ・セイリグ(『去年マリエンバードで』)演じる妖精のいたずらにより現代の文明の利器もさらりと登場したり。ルグランの音楽で歌い出すミュージカル映画としての素晴しさはもちろん、映画創世記のトリックを思わせるシーン等々、映画へのオマージュや創造力豊かな仕掛けは、大人も楽しめるとっておきのファンタジーに仕上がっています。本国フランスでは、この映画がかかると、ファン達が押し掛け、歌のシーンで大合唱するような'70年代のカルト的映画としての側面もあるようです。
◎この映画に合わせ、cinecafe sotoでは、下女となって隣国に身を隠しながら、ドヌーブが王子に作る”愛のデザート”を創作します。お食事をしながら、甘く、そして楽しい、この映画の世界に浸って下さい。
posted by Cinoche at 15:32 | Cinema

2007年11月30日

「アクメッド王子の冒険」とWAK WAK島の料理

12月の上映会(12/5〜12/10)は、世界初の長編アニメと言われる、ロッテ・ライニガーの「アクメッド王子の冒険」他、5本の短編作品をお届けします。
ABENTEUER DES PRINZEN ACMED/1926年/ドイツ/35ミリ/カラー/65分 監督・影絵アニメーション:ロッテ・ライニガー
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●「アクメッド王子の冒険」は、1929年、オリジナルが日本でも公開され、若い映画ファンやアーチスト達に強い影響を与えたとの記述もあります。
今回上映の完全修復サウンド版は、99年にドイツ・フィルムミュージアムによって修復されたもので、オリジナルの楽譜を元にフルオーケストラによる音楽トラックも加えられています。
「影絵」というと、インドネシアのワヤン・クリのような影絵劇を思い浮かベる方も多いことでしょう。ライニガーの作品は、レース編みのように繊細で、緻密に切り抜かれた姫の衣装や宮殿の細部は勿論、各キャラクターの指先まで、うっとりするような独特の美しい動きによって描かれています。また、奥行き、スケール感を与える様々な技法、水面の波影の表現など、目を見張るほど美しい場面も多く、それぞれの技法が相まってストーリーを盛り上げます。オーケストラの音楽も、より一層、冒険活劇の迫力を引き立ててくれます。
お話は、悪い魔法使いの作った空飛ぶ馬に乗せられ、遙か異国へと飛ばされてしまったアクメッド王子が繰り広げる摩訶不思議な冒険と恋のファンタジー。王子の世界を股にかけた冒険が、まるで夢の中のような影絵によって語られます。
異国文化への憧憬や、女性ならではのユーモア、そして、睦み合う恋人達の歓びなどが、実に活き活きと描かれているのもライニガー作品の特徴です。美しいシルエットによる幻想的でロマンティックな「愛の讃歌」を是非ご堪能下さい。
併映の短編には、「カルメン」(1933)、「ガラテア」(1935)、「パパゲーノ」(1935)、そして戦後イギリスで手がけた「眠れる森の美女」「長靴をはいた猫」(共に1954)の計5作品を上映します。(全て無字幕)「パパゲーノ」を始め、これら短編では、彼女のキャラクターたちが軽快なリズムに合わせて跳び回ります。繰り広げられるお話の楽しさと、メロディーの展開をコマ単位で厳密に計った上で人形の動きを合わせる、ライニガーの職人技をお楽しみ下さい。
◎「アクメッド王子の冒険」の映画に合わせ、cinecafe sotoでは、アクメッド王子が中国への冒険の前に立ち寄るWAK WAK島のお料理を創作します。(島の詳細は、映画を観てお確かめ下さい。)お食事をしながら、今一度、魅惑的な影絵の世界に想いを巡らせて下さい。
posted by Cinoche at 10:00 | Cinema

2007年10月18日

「永遠のハバナ」とキューバ料理

11月の上映会(11/1〜11/5)は、「永遠のハバナ」をお届けします。
SUITE HABANA/2003年/キューバ=スペイン/35ミリ/カラー/84分 
監督:フェルナンド・ペレス
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…今の世の中で、人類のあいだの柵や壁や障害を消すことができるのは、芸術と文化だけでしょう。ハバナの日常生活を描いたこの作品もまた、日本の観客の皆さんが自分自身を確認することができるような鏡になれるのでは、と期待しています。…(パンフレットより抜粋)
こちらから、予告編もご覧になれます。

●この作品は、フィクションの手法で撮影されたドキュメンタリーで、台詞やインタビュー、ナレーションが一切ありません。フェルナンド・ペレス監督は、「映像、街の音と音楽だけで紡がれる「永遠のハバナ」は、タイトルの通り(原題:ハバナ組曲)、人々と街が織りなす一遍の組曲である。派手なドラマも演出もない。ただ、観終わったあと、静かに心に響く声に耳を傾けてみてほしい。」と語っています。
これまで決して映し出されることのなかった政治家や音楽家以外の無名の12人の登場人物の24時間を追った映像からは、キューバの市井の人々の生活が見えてきます。日常の小さなことを大切にしながら淡々と生きる人たちの姿は、キューバ国内で30万人の人々を魅了したそうです。
◎この映画に合わせ、cinecafe sotoではキューバ料理のプレートを観賞後に用意しました。お食事をしながら、映画の内容やキューバについて、あれこれと想いを巡らせて下さい。

公開時からは既に2年ほど経ちますが、(有)アクションさんのご好意により、残り少ないパンフレット(1部600円 10部のみ)、サントラCD(2,000円)、DVD(3,990円)も入荷しました。是非この機会にご利用下さい。

また、11月3日(祝)の21時{(6)の回終了後}には、(有)アクション 代表 比嘉世津子さんにご来場いただき、作品のことやキューバの現状等について、みなさんとディスカッションする機会を設けました。
比嘉さんは、NHK BSのスペイン語ニュースの同時通訳を始め、スペイン語通訳が本職の方ですが、2年ほど前、キューバでこの映画に魅了され、初めて買い付け、宣伝等々、映画館で公開するまでの全てを経験された方です。ラテン系の明るさと明晰な頭脳をもち、何事にも果敢に挑戦し続ける比嘉さんは、現在3本目のラテンアメリカ映画の配給を準備中です。ご興味のある方は、比嘉さんのブログ「ラテン!ラテン!ラテン!」をご覧下さい。尚、(6)の回以外で鑑賞する方にも、比嘉さんとのディスカッションに参加できるよう整理券を発行します。鑑賞の際にお申し付け下さい。
posted by Cinoche at 16:10 | Cinema