1962年/日本 /35ミリ/カラー/96分
監督:川島雄三 原作・脚本:新藤兼人 主演:若尾文子 伊藤雄之助 山岡久乃 川畑愛光 浜田ゆう子 小沢昭一 高松英郎 船越英二 ミヤコ蝶々他
フィルム・写真提供:角川映画
共催:コミュニティシネマ支援センター(財)国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)
●高度成長期に建設された高層アパートの一室に住む四人家族の前田家。娘を流行作家の妾にあてがい、作家の収入をむさぼらせ、一方、芸能プロダクションに勤める息子には、タレントのギャラを横領させ、一家は何不自由のない生活と着実な預金を楽しんでいる。最初の訪問となる息子の務める芸能プロ社長、女会計係、タレントの取り立てには、露骨な猿芝居で白を切り続け、客人が帰るやいなや、いけしゃあしゃあといつもの日常に戻る家族。第二の訪問者である娘をあてがわれている作家の苦情には、徹底的なおべんちゃら大会でそれを躱し、悪びれた様子もなく、更なる搾取を画策する一家。すると、息子と同じ芸能プロダクションに務める若尾文子扮する先の女会計係が、今度は1人で息子を訪ねてやって来る…。
アパートの内部と玄関先の階段だけが舞台となるこの密室劇は、ストーリーの軸となる横領の現場や色恋沙汰も一切見せず、登場人物の台詞だけで全てが進行します。戦後強いられた貧しさを悪とする女衒ばりの父、物腰は上品なものの、更に上をゆく程したたかな母。搾取と横領を正義とし、徹底的にドライな悪党一家の丁々発止の台詞のやりとりと行動は、乾いたユーモアさえ漂わせます。絶頂期の若尾演ずる幸枝を頂点としたしたたかな俗物達の競演はまさに圧巻。落ち行く者、のし上がる者が、独白しながら架空の階段を昇り降りする象徴的な場面、夕立の中、利用され社会的地位を逸した税務官が昇り詰め佇む唯一の屋上シーン等、トーンを一新する道具立て、更には、雅楽を利用した意外な選曲は、作品に見事なコントランスを創り出します。文字どおり、他に類を見ない川島雄三による日本映画の傑作。是非、お見逃しなく。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!



















