2010年03月04日

「春のソナタ」

3月の上映会(3/4〜8)は、E・ロメールの“四季の物語”シリーズの第一作「春のソナタ」です。
CONTE DE PRINTEMPS/89年/フランス/35ミリ/カラー/107分
脚本・監督 : エリック・ロメール
音楽 : ベートーヴェン シューマン ジャン=ルイ・ヴェレロ
出演 : アンヌ・ティセードル フロランス・ダレル ユーグ・ケステル エロイーズ・ベネット ソフィー・ロバン
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●ジャンヌは高校の哲学教師。試験でパリにやってきた従妹に部屋を貸し、自分は出張中の彼氏のアパートで過ごしていた。自分のアパートには戻れず、恋人が不在のアパートにも戻りたくないジャンヌは、友人宅のパーティで、音楽学校へ通うナターシャと知り合い、彼女の家で週末を過ごすことに。理知的な美しさを湛えるジャンヌを、ナターシャは自分の父イゴールの新しい恋人にしようと仕向けるが、彼には既に娘と同世代の愛人エーヴがいる。エーヴとことごとく反目するナターシャの無意識に近い幼い企みを感じ取ったジャンヌは、この3人と中立の立場を取ろうとする。ところが、まるで娘の思いどおりにイゴールはジャンヌに近づいていく…。理性的で客観的なジャンヌが、ふとしたきっかけで、ある家の人間関係に巻き込まれ、冷静な心を迷わせていく数日間の出来事。風刺とウィットに富んだ台詞とフランス人の生活風景をそのまま切り取って見せるような鮮やかな映像で、登場人物達の心の揺れを細やかに描き出す名匠エリック・ロメール70歳の時の秀作。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
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2010年02月20日

「カミュなんて知らない」上映会 + 柳町光男監督トーク

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「カミュなんて知らない」公式サイト

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<2.20(土)、柳町光男監督には、映画でとりあげた衝撃的な殺人事件の'79年生まれの殺人犯についての想いや、その後、同年代の学生たちを大学で指導した経験等を織り交ぜながら、この映画制作にまつわる様々なお話を語っていただきました。>
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2010年02月11日

「マン・オン・ワイヤー」

2月の上映会(2/11〜15)は、「マン・オン・ワイヤー」です。
MAN ON WIRE/08年/イギリス/35ミリ/カラー/95分
監督 : ジェームズ・マーシュ
音楽 : マイケル・ナイマン、ジョシュア・ラルフ
出演 : フィリップ・プティ他
'08アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞
'08英国アカデミー賞最優秀英国映画賞
'08全米批評家協会賞ドキュメンタリー部門他全世界の映画賞50冠以上受賞
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公式サイト
●1974年8月7日朝、ニューヨークの世界貿易センター。そのツインタワーを綱渡りで渡ろうとするフランスの大道芸人がいた。彼の名はフィリップ・プティ。高さ411m・地上110階という巨大な2つのビル間に綱を渡してその上を歩くのだ。彼は、遠く離れたパリの歯科医の待合室で、6年後に完成するというツインタワーの新聞記事を見た瞬間から、「あのビル間で綱渡りをしたい。」という夢に取り憑かれてしまったのだ。しかし、ツインタワーの警備は厳重だ。その上、42mも離れた両タワー間に200kgの鋼鉄のワイヤーを渡さなくてはならない。計画を練るため、ヘリコプターでの空撮、新聞記者を装っての侵入、さらにはビルの内部にスパイを送り込む。そして、自らのトレーニング等々。その様子は、まるで銀行強盗チームの準備さながらであった。当時、彼らが撮影した映像と、プティを助けた人々の証言は、35年前の「史上、最も美しい犯罪」への巧妙な戦略を明かしてくれると同時に、夢に向かって挑戦する若者達の上質な感傷を織り込んだ青春群像ともなっている。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
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2010年01月20日

「人生に乾杯!」

1月の上映会(1/20〜24)は、「人生に乾杯!」をお届けします。
KONYEC/07年/ハンガリー/35ミリ/カラー/107分
監督 : ガーボル・ロホニ
出演 : エミル・ケレシュ、 テリ・フェルディほか
第38回ハンガリー映画週間 観客賞・部門賞受賞
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公式サイト
●1950年代後半、労働者階級出身のエミルと伯爵令嬢のヘディは運命的な出会いを果たす。秘密諜報機関が摘発に乗り込んだ城館で、エミルの前に突如屋根裏に身を潜めていたヘディが落ちて来たのだ。突然の出来事に戸惑うエミルだったが、ヘディが差し出す伯爵令嬢としての誇りである "ダイヤのイヤリング" と引き換えに、エミルは彼女を匿う。たちまち恋に落ち結婚したエミルとヘディも今では81歳と70歳。恋に落ちた頃のことなど、すっかり忘れていた。社会も時代も変わって、年金だけでは暮らしていけない世の中。つつましやかな生活をしているのに借金取りに追われる毎日が続き、ついには、二人の出会いのきっかけだった "ダイヤのイヤリング" までも、借金のカタにとられてしまう。高齢者を冷遇する世の中への怒りと、二人の思い出の詰まった大切なイヤリングを取り戻すため、エミルは持病のギックリ腰をおして、20年ぶりに愛車のチャイカを飛ばし郵便局を強盗!
「自分の正義」の為に奮闘する老夫婦の勇気ある逃避行ロードムービー。奇想天外なストーリー展開のテンポもよく、高齢化社会の問題をユーモアたっぷりに描いているところも実に痛快。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
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2009年12月10日

「ベルリンフィルと子どもたち」

12月の上映会(12/10〜14)は、「ベルリンフィルと子どもたち」をお届けします。
RHYTHM IS IT!/04年/ドイツ/35ミリ/カラー/105分
監督 : トマス・グルベ 、エンリケ・サンチェス・ランチ
音楽 : イーゴリ・ストラヴィンスキー≪春の祭典≫
出演 : 250名のベルリン在住の子供たち / ロイストン・マルドゥーム(ダンス・ユナイテッド振付師) / スザンナ・ブロウトン(共同振付) / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(演奏) / サー・サイモン・ラトル(指揮)
04年フライブルグ国際映画祭 観客賞受賞
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公式サイト
●'02年、ベルリンフィルの芸術監督兼首席指揮者サー・サイモン・ラトルは、「音楽を通じて子ども達の可能性を伸ばす手助けをしたい」と、『ダンスプロジェクト』を立ち上げた。課題曲に選んだのは、<<春の祭典>>。1913年、ニジンスキーの振り付けでロシア・バレエ団により初演されたそれは、伝統に根ざした音楽にはない不協和音や斬新なリズムにより20世紀音楽史上最大のスキャンダルを起こしたストラヴィンスキーの代表作である。一方、ほとんどがダンス未経験という子供たちを6週間指導したのはロイストン・マルドゥーム。彼は、20年に渡り、年齢や能力、文化的背景の異なる人々が一緒に踊るというダンスのプロジェクトに関わって来た振り付け師である。そして、本作の主役となるのは、8歳から22歳までの子ども達。家庭の不和で傷ついていたマリー、政治的理由でドイツに亡命をしたオラインカ、精神的な病を抱えていたマルティンなど。カメラは、2人の指導者の想いや葛藤を挿みながら、最初は遊び半分で戯れていた子ども達が、不安と自信の間をさまよいながらも変化を望み、舞台に向かって成長していくまでの過程を丹念に映し出します。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
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2009年11月22日

2009年11月05日

「パリところどころ」

11月の上映会(11/5〜9・14)は、「パリところどころ」をお届けします。
PARIS VU PAR/65年/フランス/35ミリ/カラー/97分
第1話「サンドニ街」監督:ジャン=ダニエル・ポレ 
第2話「北駅」監督:ジャン・ルーシュ 
第3話「サンジェルマン・デ・プレ」監督:ジャン・ドゥーシェ 
第4話「エトワール広場」監督:エリック・ロメール 
第5話「モンパルナスとルヴァロワ」監督:ジャン=リュック・ゴダール 
第6話「ラ・ミュエット」監督:クロード・シャブロル
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公式サイト
第1話「サンドニ街」貧乏暮らしの下宿に、初めて娼婦を招き入れた気弱な青年。ところが、おしゃべりに講じたり、夕飯を作ってあげたりと、完全に彼女にペースを握られ、なかなかことに及べず…。
第2話「北駅」共同生活を始めた若いカップル。いつか落ち着いた家庭を持ちたいと夢見る女。出勤前のある朝、忙しさの中で彼と口喧嘩をし家を飛び出すと、身なりを整えた若い紳士と出くわし、いきなり求婚を迫られるのだが…。
第3話「サンジェルマン・デ・プレ」知り合った男の眺めのいいアパートで朝を迎えたカトリーヌだったが、起き抜けにも関わらず、外交官の父に会いに行く飛行機に遅れるという彼にそそくさとアパートを追い出され、しかたなく学校へ向かうと…。
第4話「エトワール広場」高級紳士服店員のジャン=マルクは、その日、地下鉄で女性に足を踏まれて靴を汚され、工事中の舗道脇では泥を跳ねられ、よろよろ歩く男には因縁をつけられ、挙げ句の果てには持っていた傘を掴まれたまま気絶され…。
第5話「モンパルナスとルヴァロワ」浮気娘のモニカは、二股の男達に同時に速達を投函する。中身の間違えに気付いた彼女は、彫刻家の彼に説明に行くが飽きれられて追い出され、今度は、もう一方の修理工の彼を訪ねるが…。
第6話「ラ・ミュエット」高級住宅街16区のとある邸宅。両親の口げんかに悩まされ嫌気のさしていた少年は、耳栓で平静に生活する術を身につける。ある時、いつもの口げんかがいがみ合いになり母親が階段から滑り落ちてしまうのだが…。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
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2009年10月01日

「トウキョウソナタ」

10月の上映会(10/1〜6)は、「トウキョウソナタ」をお届けします。
08年/日本・オランダ・香港/35ミリ/カラー/119分
監督:黒沢清 出演:香川照之 小泉今日子 小柳友 井之脇海 井川遥 津田寛治 児嶋一哉 役所広司他
08年カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞受賞作品
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公式サイト
●自分が勤める大企業の総務部ごと中国大連の企業に委託されることが決定し、あっけなくリストラに遭う佐々木家の主・竜平。それを専業主婦の妻・恵に言えない彼は、毎朝、出勤のポーズでハローワーク通い。大学生の長男はバイトに明け暮れ家に帰らないことも多く、果てはアメリカ軍に入隊し平和のために奉仕するという。次男は学校で教師と衝突してシカトされ、興味を持っていたピアノを習うために給食費をくすね、こっそりと音楽教室へ通っている…。
それぞれが隠し事をしながら、お互いにその核心に触れないようにして暮らしている家族4人のかたち。リストラ、就職難、学校の問題、そして戦争。そこには、混沌として閉塞感が漂う世界の状況とも無縁ではない現代日本の家族の日常が横たわっています。監督は、その姿を静謐で美しいカメラワークと極力音を排した作風により劇のような虚構性をもって描き出し、その家族の悲劇性と滑稽さを際立たせます。家族それぞれが隠している秘密の行く末で破綻し、その後、何かを求めてもう一度家に戻って来る時、父・竜平と母・恵に見守られた次男が音楽学校の受験会場で弾くドビュッシーの「月の光」は、全てを浄化し、新たな家族の明日さえ予感させます。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
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2009年09月17日

「リアリズムの宿」ワンドリンクレイトショー

9月のワンドリンクレイトショー(9/17〜22)は、「リアリズムの宿」をお届けします。
2003年/日本/35ミリ/カラー/83分 
原作:つげ義春 監督:山下敦弘 出演:長塚圭史 山本浩司 尾野真千子他 音楽:くるり
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公式サイト
●冬のある日、駆け出しの映画監督木下と脚本家坪井は、共通の友人である俳優の船木に誘われ、東京を離れて旅に出ることに。ところが肝心の船木は朝寝坊。顔見知り程度でしかない2人が仕方なく訪れたのは鳥取のとある温泉街。意味もなく日本海を眺めていた2人は目の前を流れていく女性の下着を目にする。不思議に思っていると、若い女性が裸同然で走ってきた。何を思ったか、寒空の下、泳いでいると服も荷物も波にさらわれてしまったという。こんな風にして、なんとなく、2人の男と1人の女の旅が始まった…。
「劇的な要素のかけらもない男2人の旅」これが実に笑わせます。監督は、つげ義春の旅ものと呼ばれる2作品「リアリズムの宿」「会津の釣り宿」を大胆に脚色し、面識のない男2人が醸し出す気まずい空気の中に、そして道中で関わり合う人々との僅かなズレの間に、誰にでも身に覚えのある苦笑いなエピソードを滑り込ませ、言葉やしぐさだけでなく沈黙やリアクションでくすくす笑いを誘います。終止、朴訥とした台詞のおとなしい芝居が続きますが、時々挟み込まれる広角レンズで捉えた冬景色に俳優を配した画面はとても美しく、この平坦な旅にコントラストを与えます。旅の始まりを予感させる冒頭の楽曲を始め、控えめだが心に残る”くるり”の音楽も、このロードムービーを静かに盛り上げます。
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2009年09月03日

「胡同(フートン)の理髪師 」

9月の上映会(9/3〜8)は、「胡同(フートン)の理髪師 」をお届けします。
剃頭匠/'06年/中国/35ミリ/カラー/105分
監督:ハスチョロー 出演:チン・クイ チャン・ヤオシン ワン・ホンタ ワン・シャン他
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予告編
●北京の旧城内にあり古い家屋が建ち並ぶ胡同。そこに、93歳の今も出張理髪師を営むひとり暮らしの老人チンさんは住んでいる。毎朝同じ時間に起床、使い慣れた古時計を5分早めることから彼の一日は始まる。入歯をつけ、髪を梳かし、支度を済ませると、3輪自転車で出勤するチン老人。街は、折しも北京オリンピック開催に向けた区画整備の真最中。立ち退きを迫られる古い街並のように、チンさんも、やがてくるその日に備え、黙々と準備を始めるのだが…。
老理髪師の一日を丹念に描写するこの映画は、まるでドキュメンタリー作品のように描写されています。それもそのはず、主役の老理髪師チンさんを演じるのは、実際に93歳の現役理髪師で演技未経験のチン・クイさん本人なのです。ひげ剃りや散髪の場面は勿論、映画の多くのシーンは、チンさんの実生活をそのまま映しています。高度成長著しい街の変化や若い世代の考え方に戸惑いながらも、自分の生き方を貫く老理髪師の姿は、80年以上変らぬ毎日を送ってきた理髪師チンさん自身でもあります。そして、ここに映る彼の姿は、やがて消えてしまうであろう胡同の風景とともに、お金やモノでは満たすことのできない”心の豊かさ”を、見るものに気付かせてくれます。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
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2009年08月13日

「ペルセポリス」

8月の上映会(8/13〜18)は、イラン出身でパリ在住のマルジャン・サトラピの半自伝的グラフィック・ノベルを、自ら監督した長編アニメ「ペルセポリス」をお届けします。
PERSEPOLIS/2007年/フランス/35ミリ/モノクローム、一部カラー/95分 
原作・監督:マルジャン・サトラピ 声の出演:キアラ・マストロヤンニ カトリーヌ・ドヌーヴ ダニエル・ダリュー シモン・アブカリアン ガブリエル・ロペス フランソワ・ジェローム他
'07カンヌ国際映画祭 コンペティション部門 出品審査員賞受賞作品
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日本語版 公式サイト
英語版 公式サイト(こちらでは、監督のインタヴューも見られます。)
●1978年、テヘラン。9歳のマルジはブルース・リーが大好きな女の子。パパとママ、大好きなおばあちゃんに囲まれ幸せに暮らしていた。そんなある日、イラン革命が起きる。反政府主義者として投獄されていた父の兄アヌーシュ伯父さんも戻って来た。伯父さんは、" 知ることが大切 "と、好奇心旺盛なマルジに色々なことを教えてくれる。しかし、新イスラム共和国樹立に浮かれる日々も束の間、解放されたはずの元反政府主義者たちは、新政府により次々と投獄され、アヌーシュ伯父さんも逮捕されてしまう。学校は男女別々、女子のヴェール着用など、前政権以上に自由は奪われ、翌年にはイラン・イラク戦争も勃発。マルジの将来を案じた両親は、彼女をウィーンに留学させる…。
イラン出身、パリ在住のイラストレーター、マルジャン・サトラピ自身による自伝的同名マンガの映画化である本作は、混迷のイランで成長するマルジの半生と女性3代に渡る母娘の愛情を、涙と笑いを散りばめながら描いた作品です。なかでも祖母の存在は特に大きく、「常に公明正大であれ」、「恐れが人に良心を失わせる、恐れが人を卑怯にもする」など、マルジを常に勇気づけ優しく導きます。原画の単純な線を生かした作風は、激動の時代を監督独自の視点で描きながら、見る側の創造力をかき立てます。アニメーション独特の動きや繊細な装飾による心象風景の表現は、マルジの感情の起伏を表現し、どこにいても自分らしい生き方を模索するひとりの少女を鮮やかに息づかせます。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
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2009年07月09日

「ヴィットリオ広場のオーケストラ」とコンサート帰りにローマのトラットリアで

7月の上映会(7/9〜14)は、希望と幸福を奏でる多国籍オーケストラ誕生のドキュメンタリー「ヴィットリオ広場のオーケストラ」をお届けします。
L'Orchestra Di Piazza Vittorio/2006年/イタリア/35ミリ/カラー/100分 
監督:アゴスティーノ・フェッレンテ 音楽:ヴィットリオ広場のオーケストラ
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●ローマ旧市街のヴィットリオ広場周辺には60以上の民族からなる移民達が暮らしている。急速に街が変化する中、イタリア屈指の古く美しい映画館「チネマ・アポロ」も閉館を迫られていた。そんな時、多様な住民達の相互理解のため、そして映画館の有効な再生利用のため、ピアニストのマリオと映画監督アゴスティーノは立ち上がる。2人は、地区の多様な民族からの音楽家達によるオーケストラを組織し、運動を押し進める象徴的な存在を作ろうと計画する。演奏者達の発掘、活動資金や稽古場の確保、宗教や考え方の違うメンバー間のゴタゴタなどなど、多くの困難に直面しながら、5年間という歳月を乗り越え、みんなの思いはついにステージに結実。その懐かしくも新しい音楽は、ローマっ子を魔術的な感動に包み込む。
映画は、異なる国から来た異なる音楽の演奏家達によるオーケストラ結成の現場で、音楽性だけに留まらない様々な苦難を映しながら、故郷を離れ幸福を求める人々の生活を浮き彫りにします。多国籍の音楽家達が共に奏でる音楽は、もはや単なるエスニックミュージックでは捉えきれず、このオーケストラが共存の道しるべとして、 "多様性" に声と肉体を与えることに成功したことを物語っています。画面に映る観衆の興奮と同様、この音楽は、ことの成り行きを目撃した私達の心を強く揺さぶります。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
posted by Cinoche at 19:49 | Cinema

2009年06月11日

「パッチギ!」と朝鮮家庭料理のフルコース

6月の上映会(6/4〜8+6/13)は、「パッチギ!」をお届けします。
<十条国際音楽祭+東京朝鮮中高級学校文化祭応援企画>
2004年/日本/35ミリ/カラー/119分 
監督: 井筒和幸 主演:塩谷瞬 高岡蒼佑 沢尻エリカ 楊原京子 尾上寛之 真木よう子 小出恵介 波岡一喜 オダギリジョー 光石研 余貴美子 笹野高史 ケンドーコバヤシ他
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公式サイト
●GS人気が絶頂だった1968年京都。府立東高校2年生の松山康介と親友の紀男は、日頃から喧嘩の絶えない朝鮮高校に親善サッカーの試合を申し込みに行く羽目になる。恐る恐る訪ねた校内をうろうろする2人。ブラスバンドの音色に誘われるまま音楽室に辿り着いた康介は、そこでフルートを吹くキョンジャに一目惚れ。しかし、キョンジャは朝鮮高校の番長アンソンの妹だった。キョンジャに近づきたくてギターを覚え、彼女が奏でていた歌「イムジン河」のメロディーを口ずさみ、朝鮮語も学ぼうとする康介。康介は「イムジン河」をギターで弾くために、フォークバンドを結成しようと親友の紀男を誘うのだが…。
主人公の府立高校生康介と朝鮮高校生キョンジャの恋愛が、単純なラブストーリーではないことは、一人の朝鮮高校生の葬式で露呈する二人が背負う二国間の歴史的、政治的な "溝" のエピソードからも明らかです。このテーマは、ザ・フォーク・クルセダーズの伝説的名曲「イムジン河」を通じて全篇に象徴的に扱われ、見る者に様々な想いを巡らせます。前途有望な若手俳優陣と脇を固めるベテラン達の熱演、思わず顔をしかめるほど激しい喧嘩のシーンやスピード感溢れるエピソードが繰り出す笑いなど、映画的躍動感と社会性を見事に融合させた心振るわすエンターテインメントをご堪能下さい。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
posted by Cinoche at 18:09 | Cinema

2009年05月09日

「歩いても 歩いても」と劇中のレシピそのままに

5月の上映会(5/14〜5/19)は、「歩いても 歩いても」をお届けします。
2007年/日本/35ミリ/カラー/114分 
監督・原作・脚本・編集:是枝裕和 音楽:ゴンチチ 
主演:阿部寛 夏川結衣 高橋和也 田中祥平 樹木希林 原田芳雄 YOU 横山あつし 寺島進 加藤治子他
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公式サイト
●夏の終わり、良多は15年前に他界した兄の命日のため、妻と息子を連れて実家を訪れた。開業医だった父とそりの合わない良多は、失業中のこともあり、久々の帰郷も気が重い。明るい姉の一家も来て、老いた両親の家には久しぶりに笑い声が響く。姉たちと楽しく語らいながら料理の準備に余念がない母。一方、開業医を引退後も、相変わらず家長としての威厳にこだわり、皆の会話に加わらない父。昔使っていた大きな座卓を持ちだそうと探しに行った兄の部屋は今もそのままに。久しぶりの実家で掘り起こす幼少の頃の品々とその想い出。そして、大勢での食卓を囲んだ後、良多は家族と母を連れ、兄の墓参りに出かける。その帰り道、良多は、母から紋白蝶の話しを聞かされる…。
兄弟の命日に集まった家族の1日を描くこの作品には、たいした事件は起きません。そこに集まった家族とそこでの会話が、生き生きとした家族の"今"を映し出しているのです。親として、子として、あるいは個人として、それぞれの発言には、今考えている想いや伝えたいものがそっと見え隠れしています。そんな中、溺れた子供を助け、その命と引き換えに亡くなった息子を悔やむ母の漏らす言葉は、あまりに辛辣でドキリとさせられます。作品と寄り添うように流れるゴンチチによるメロディーも絶妙。優しさと思いやり、そしてそれ故の苛立ちなど、まさにある家族の一時を感じさせる静かな作品です。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
posted by Cinoche at 19:19 | Cinema

2009年04月20日

「ヨコハマメリー」ワンドリンクレイトショー

G.W.のワンドリンクレイトショー(5/1〜5/6)は、〜白塗りの仮面をつけ、ある生き方を貫いた老女の物語〜 ドキュメンタリー映画の「ヨコハマメリー」をお届けします。
2005年/日本/35ミリ/カラー/92分 
監督・構成:中村高寛 主演:永登元次郎 五大路子 杉山義法 清水節子 広岡敬一 団鬼六 山崎洋子 大野慶人他
文化庁映画賞文化記録映画優秀賞
横浜文化賞文化・芸術奨励賞
神奈川文化賞未来賞
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●かつて、顔を白く塗り貴族のようなドレスに身を包んだ老女が、ひっそりと横浜の街角に立っていた。「ハマのメリーさん」人は彼女をそう呼んだ。名前や年齢も明かさず、戦後50年間、進駐軍相手の娼婦としての生き方を貫いた女。美人娼婦として名を馳せた、その気品ある立ち振る舞いは、いつしか横浜の街の風景の一部ともなっていった。ところが、1995年冬、メリーさんは忽然と姿を消し、いつしか彼女の噂はヨコハマの伝説となっていく。そんなメリーさんを温かく見守り続けていた人達の一人に、癌を患い余命いくばくもないシャンソン歌手の永登元次郎さんもいた。メリーさんとの想い出を語るうちに、元次郎さんは、ある一つの思いを募らせていく…。
監督は、メリーさんが消えた後の横浜でインタビューを始め、5年の歳月をかけてこの映画を完成させました。本作に登場するのは、永登元次郎さんをはじめとするメリーさんと親交の深かった人々や、彼女を暖かく見守ってきた人々。映画は、彼らへのインタビュー、当時を物語る記録写真、取材等を手がかりに、「メリーさん」とは何だったのか、彼女が愛し離れなかった「横浜」とは何だったのかを検証し、浮き彫りにしていきます。こうして横浜の今と昔を往復しながら、メリーさんを介して見えてくるものは、市井の人々の営みや感情、人生の機微であり、いつの時代も変わらない人と人を結ぶ普遍的な愛と優しさです。横浜を舞台とする心温まるドキュメンタリーを是非、ご堪能下さい。

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<5/2(土)作品上映後、中村高寛監督に講演をしていただきました。>
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2009年03月19日

「幸福(しあわせ)」とフレンチスタイルの合いがけ

4月の上映会(4/2〜4/7)は、アニエス・ヴァルダ監督の「幸福(しあわせ)」をお届けします。
Le Bonheure/1964年/フランス/35ミリ/カラー/80分 
監督:アニエス・ヴァルダ 主演:ジャン=クロード・ドルオ クレール・ドルオ ドルオ家の子ども達 マリー=フランス・ボワイエ他
1964年ルイ・デリュック賞
1965年ベルリン映画祭銀熊賞
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"Le bonheure"予告編
●フランソアは、叔父の建具屋で職人として働く若い夫。その美しく従順な妻テレーズは、洋裁で家計を助けている。2人には幼い子ども達もおり、慎ましくも幸せ一杯の4人家族である。週末に、会社の車を借りて郊外の森へピクニックに出かけるのが家族の習慣だ。ある日、フランソアは、出張で訪れた街の郵便局で、局員のエミリーと言葉を交わす。ふとしたことから会話が弾み、フランソアはエミリーをカフェに誘う。意気投合し、次回は彼女の部屋で会うことを互いに約束する2人。いつしか2人は、出張の度に彼女の部屋で会う関係となる。エミリーは自由な女で、フランソアに不倫の罪悪感を感じさせないが、同時に2人の女を愛している自分に悩んでいたフランソアは、子ども達が昼寝するピクニックの森で、妻テレーズに、それを打ち明けるのだが…。
柔らかく包み込むような空気で溢れる週末の森の描写や、実際の家族4人を主役に起用し、幸福な家族の姿を生き生きと描く演出は、繰り返されるモーツァルトのクラリネット五重奏曲とも相まって、美しく平和な情景を映し出します。しかし、その美しく、且つ淡々とした平和の描写は、後に展開されるアクシデントと出会うとき、そこに、より大きなコントラストさえ浮かび上がらせます。通常は黒を用いる暗転に、黄、青、赤、緑等を用いたり、ストーリーと関連づけるように映し出される街の外壁やポスター。シーン自体が切り取った静止画のようでもあり、さらに、そこに映画独特の動きも加える構図や手法からは、写真家としても活躍していたA・ヴァルダ監督のユニークで実験的側面も伺えます。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
posted by Cinoche at 21:16 | Cinema

2009年03月02日

「しとやかな獣」と昭和の団地の食卓

3月の上映会(3/12〜3/17)は、若尾文子主演「しとやかな獣」をお届けします。
1962年/日本 /35ミリ/カラー/96分 
監督:川島雄三 原作・脚本:新藤兼人 主演:若尾文子 伊藤雄之助 山岡久乃 川畑愛光 浜田ゆう子 小沢昭一 高松英郎 船越英二 ミヤコ蝶々他
フィルム・写真提供:角川映画
共催:コミュニティシネマ支援センター(財)国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)
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●高度成長期に建設された高層アパートの一室に住む四人家族の前田家。娘を流行作家の妾にあてがい、作家の収入をむさぼらせ、一方、芸能プロダクションに勤める息子には、タレントのギャラを横領させ、一家は何不自由のない生活と着実な預金を楽しんでいる。最初の訪問となる息子の務める芸能プロ社長、女会計係、タレントの取り立てには、露骨な猿芝居で白を切り続け、客人が帰るやいなや、いけしゃあしゃあといつもの日常に戻る家族。第二の訪問者である娘をあてがわれている作家の苦情には、徹底的なおべんちゃら大会でそれを躱し、悪びれた様子もなく、更なる搾取を画策する一家。すると、息子と同じ芸能プロダクションに務める若尾文子扮する先の女会計係が、今度は1人で息子を訪ねてやって来る…。
アパートの内部と玄関先の階段だけが舞台となるこの密室劇は、ストーリーの軸となる横領の現場や色恋沙汰も一切見せず、登場人物の台詞だけで全てが進行します。戦後強いられた貧しさを悪とする女衒ばりの父、物腰は上品なものの、更に上をゆく程したたかな母。搾取と横領を正義とし、徹底的にドライな悪党一家の丁々発止の台詞のやりとりと行動は、乾いたユーモアさえ漂わせます。絶頂期の若尾演ずる幸枝を頂点としたしたたかな俗物達の競演はまさに圧巻。落ち行く者、のし上がる者が、独白しながら架空の階段を昇り降りする象徴的な場面、夕立の中、利用され社会的地位を逸した税務官が昇り詰め佇む唯一の屋上シーン等、トーンを一新する道具立て、更には、雅楽を利用した意外な選曲は、作品に見事なコントランスを創り出します。文字どおり、他に類を見ない川島雄三による日本映画の傑作。是非、お見逃しなく。
◎cinecafe sotoの上映会は、映画上映とその映画にちなんだお料理がセットになった上映会です。今回の限定プレートもお楽しみに!
posted by Cinoche at 18:22 | Cinema