2003年/日本/35ミリ/カラー/83分
原作:つげ義春 監督:山下敦弘 出演:長塚圭史 山本浩司 尾野真千子他 音楽:くるり

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●冬のある日、駆け出しの映画監督木下と脚本家坪井は、共通の友人である俳優の船木に誘われ、東京を離れて旅に出ることに。ところが肝心の船木は朝寝坊。顔見知り程度でしかない2人が仕方なく訪れたのは鳥取のとある温泉街。意味もなく日本海を眺めていた2人は目の前を流れていく女性の下着を目にする。不思議に思っていると、若い女性が裸同然で走ってきた。何を思ったか、寒空の下、泳いでいると服も荷物も波にさらわれてしまったという。こんな風にして、なんとなく、2人の男と1人の女の旅が始まった…。
「劇的な要素のかけらもない男2人の旅」これが実に笑わせます。監督は、つげ義春の旅ものと呼ばれる2作品「リアリズムの宿」「会津の釣り宿」を大胆に脚色し、面識のない男2人が醸し出す気まずい空気の中に、そして道中で関わり合う人々との僅かなズレの間に、誰にでも身に覚えのある苦笑いなエピソードを滑り込ませ、言葉やしぐさだけでなく沈黙やリアクションでくすくす笑いを誘います。終止、朴訥とした台詞のおとなしい芝居が続きますが、時々挟み込まれる広角レンズで捉えた冬景色に俳優を配した画面はとても美しく、この平坦な旅にコントラストを与えます。旅の始まりを予感させる冒頭の楽曲を始め、控えめだが心に残る”くるり”の音楽も、このロードムービーを静かに盛り上げます。